TOPへ

ブログ

クレアチニン値が正常でも慢性腎臓病のことがあります

内科

クレアチニン値が正常でも慢性腎臓病のことがあります

~見落とされがちな腎機能の低下~

健康診断で「クレアチニン値は正常です」と言われて、安心していませんか?
実は、血清クレアチニン値が正常であっても、慢性腎臓病(CKD)が進行しているケースは少なくありません。特に高齢の方や筋肉量の少ない方では注意が必要です。


■ 慢性腎臓病(CKD)の診断はクレアチニンだけではありません

慢性腎臓病の診断には、以下のような要素が用いられます:

  • 尿検査での異常(蛋白尿・尿潜血など)

  • 腎臓の画像検査での形態異常(萎縮・嚢胞など)

  • eGFR(糸球体濾過量)の低下

  • 上記の異常が3か月以上続くこと

つまり、血清クレアチニン値が正常でも、「尿異常」や「画像異常」があれば、CKDと診断される可能性があります。


■ クレアチニン値は“筋肉量”に左右されます

血清クレアチニンは、体内の筋肉の代謝産物です。そのため、筋肉量が多い方ではクレアチニン値が高めに出やすく、逆に、筋肉量が少ない方(特に痩せた高齢者)では、実際よりも腎機能が良いように見えてしまうことがあります。

たとえば、クレアチニン値が正常でも、eGFRを体格や体重で補正すると、すでに中等度〜高度の腎機能低下である場合があるのです。


■ 正常値に安心せず、eGFRや尿検査も確認を

腎機能の評価には、クレアチニン値だけでなく、eGFR(推算糸球体濾過量)という指標が非常に重要です。これは、年齢・性別・血清クレアチニン値をもとに、腎臓がどの程度働いているかを推定した数値です。

また、シスタチンCを用いたeGFR(筋肉量の影響を受けにくい)を測定することで、高齢者や筋肉量の少ない方でも、より正確に腎機能を把握することが可能です。


■ 腎機能が低下していると、薬やサプリメントのリスクも

腎臓の機能が低下していることに気づかず、通常量の薬や健康食品・サプリメントを摂取すると、体内での代謝や排泄がうまくいかず、副作用や有害反応を引き起こすおそれがあります。

特に、解熱鎮痛剤(NSAIDs)や造影剤、過剰なタンパク補給などは、知らずに腎臓に負担をかけているケースも多く見られます。


■ 「正常だから安心」は危険。早めの評価が大切です

高齢者や痩せ型の方では、「クレアチニンが正常だから大丈夫」とは限りません。
健康診断で異常を指摘されなくても、尿検査やeGFR、シスタチンCなどを含めた総合的な腎機能評価が非常に大切です。

たがやクリニックでは、必要に応じた追加検査を通じて、患者さまの腎機能を正確に把握し、適切な薬剤調整や生活指導を行っています。

「なんとなく最近、むくみや疲れやすさが気になる」
「薬の副作用が心配」
そんなときは、どうぞお気軽にたがやクリニックにご相談ください。