TOPへ

ブログ

美的センスって、国によってこんなに違う。

美容

「美しさって、そもそも何を基準にしているんだろう?」

美容医療に関わる中で、私が何度も感じるのは、“美の基準”は絶対的なものではなく、国や文化、そして個人によって大きく違うということです。(もちろん標準的な美の基準というものは共通であったりはします)

先日も出張でバンコクに行き、外国の先生の症例やその反応を生で見てきたのですが、やはり大きな違いを感じました。

たとえば「顎(あご)」の形。欧米では、しっかりとしたシャープなフェイスライン、パキッとした大きめの顎が「かっこいい」「知的」「強さを感じる」「若々しい」といった印象を与えるため、高く評価されることが多いです。
一方、日本ではどうでしょうか?

あごは小さめで、尖りすぎない、やわらかく自然なラインが「上品」「可憐」「女性らしい」と好まれる傾向にあります。
たった一つのパーツでも、評価される“美しさ”が全然違うのです。

この違いは美容医療の現場では本当に大きな意味を持ちます。
たとえば、日本では「えっ、すごく変わっている!!」と驚かれるようなフェイスラインの変化も、海外の患者さんや欧米の美容ドクターに見せると、「全然ナチュラル」「むしろもっと変えてもいいくらいじゃない?」という反応が返ってくることがあります。

これがまさに、文化や価値観が“美の感じ方”に深く影響している証拠です。

そしてもう一つ、私自身が面白いと感じているのは——
実は、パキッと大きく分かりやすい変化を出すほうが、技術的には簡単なことも多いということ。
しっかりと輪郭を出し、印象をはっきり変える施術は、変化が明確に現れやすく、比較的再現性も高い。(教育の面

ではこの再現性は必須です)

一方で、日本人が好む“自然でナチュラルな変化”を作るのは、実はずっと難しいのです。
少しの注入量や角度の違いで印象が変わってしまうため、細かい微調整や繊細な観察力が求められます。

でも、私はそこにこそ面白さを感じました。
この“わかりにくいけど、確実に美しさを引き出す絶妙なライン”を探す作業に、私はどんどんハマっていったのです。

近年SNSの流行により、美容医療に対してのリクエストが変わりつつあります。

「綺麗になりたい」と思ったとき、それはどんな美しさをイメージしていますか?
モデルさんの顔?SNSで見かけた誰かの姿?それとも、昔の自分?

ここでちょっと立ち止まって考えてみてほしいのです。

「それは本当に“自分がなりたい美しさ”なのか?」

“なんとなく”周りの評価に流されたり、トレンドに引っ張られたりして、自分らしくない「理想像」を追いかけてしまっている人、実は少なくありません。また、症例写真にでているような明確な変化をいいと思って実際自分にしてみたら、それはやりすぎだったとなっている人もいます。

美容医療って、「どこを変えるか」「どれだけ変えるか」という技術的な話だけではないと、私は思っています。
それ以上に大切なのは、「どんな自分でいたいか」を一緒に見つけていくプロセス。

だからこそ、施術前のカウンセリングでは、「どうなりたいですか?」という質問の中に、
「どんなふうに見られたいか」「自分のどんな部分が好きで、どこを変えたいと思っているのか」
そんな対話を丁寧に重ねていきます。

世界にはたくさんの「美の基準」があります。

「どんな美しさが、自分にとって心地いいのか」

カウンセリングで一緒に考えていきたいと思います。