関節リウマチ・膠原病
・更年期・むくみ

関節リウマチとは

関節リウマチは、免疫の異常によって主に関節の「滑膜（かつまく）」という組織に炎症が起こる病気です。炎症が続くと、関節の腫れや痛みが生じ、やがて軟骨や骨が破壊され、関節が変形したり動かしにくくなったりします。
特に手足の小さな関節に左右対称に症状が出ることが多く、日常生活に支障をきたすこともあります。
日本における関節リウマチの有病率は、人口の約0.4～0.5％、30歳以上では約1％とされており、現在、全国で70万人以上の患者さんがいると推定されています。かつては40〜50歳代の女性の発症が多いとされていましたが、近年では60歳代の発症が最も多くなっており、高齢化の影響もあって「高齢発症関節リウマチ（EORA）」が注目されています。男女比では女性が男性の約3倍とされていますが、高齢発症ではその差はやや小さくなります。
関節リウマチの発症には、複数の要因が複雑に関係していると考えられています。現在のところ明確な原因は解明されていませんが、免疫の仕組みに異常が生じることで自分自身の関節を攻撃してしまう「自己免疫反応」が起こることが病気の本質とされています。この免疫異常の背景には、リウマチになりやすい遺伝的体質や、ウイルスや細菌などの感染が関与している可能性が指摘されています。また、喫煙や歯周病、ストレス、ホルモンバランスの変化といった環境要因も、発症リスクを高めるとされています。
関節の中では、まず滑膜に炎症が起こり、そこにリンパ球やマクロファージといった白血球が集まってきます。これらの細胞が炎症性サイトカイン（たとえばTNF-αやIL-6など）という物質を放出し、炎症がさらに強くなります。炎症によって滑膜が異常に増殖し、関節液が過剰にたまることで腫れや痛みが生じます。そして、増殖した滑膜が関節の内側を破壊し始めることで、軟骨や骨の損傷、関節の変形へと進んでいきます。このような病態が進行する前に、早期に診断して治療を開始することが、関節の破壊を防ぎ、日常生活の質（QOL）を保つために非常に重要です。

関節リウマチの症状

関節リウマチでは、次のような症状が現れます。

• 関節のこわばり（朝のこわばり）：朝起きたときに関節がこわばり、動かしにくくなります。30分以上続くこともあります。
• 関節の腫れ・痛み：主に指や手首、足の関節に左右対称に起こることが特徴です。
• 倦怠感・発熱・食欲不振：全身に炎症があるため、関節症状以外にも体調不良が続くことがあります。

初期は「疲れやすい」「関節が痛む」など、風邪や加齢と間違われやすい症状が見られるため、気になる症状が続く場合は早めの受診をおすすめします。

関節リウマチの診断

関節リウマチの診断は、症状の経過、診察所見、血液検査、画像検査などを総合的に判断して行います。特に、以下のような項目が診断の手がかりになります。

関節リウマチ分類基準（2010年 ACR/EULAR）

関節リウマチの診断には、以下の分類基準を参考にします。合計スコアが6点以上であれば、「関節リウマチと分類される可能性が高い」と判断されます。

分類の目安

• 総合点 6点以上：関節リウマチと分類される可能性が高い

※この基準は、すでに関節リウマチと診断されている患者さんの再分類や研究目的で用いられるものであり、診断そのものを決定するための唯一の基準ではありません。実際の診断は、症状、画像所見、経過、専門医の診察などを総合的に判断して行われます。

関節リウマチの検査

診断や治療方針の決定には、以下のような検査が行われます。

関節リウマチの治療（薬物療法）

関節リウマチの治療の中心は薬物療法です。症状の進行を防ぎ、関節の機能を維持することを目的としています。

抗リウマチ薬（DMARDs）

関節の破壊を防ぐ基本的な治療薬。メトトレキサートが中心ですが、他にもいくつか種類があります。

生物学的製剤・JAK阻害薬

免疫の異常をより正確に抑える薬で、効果が高い一方、感染症のリスクに注意が必要です。

消炎鎮痛薬（NSAIDs）・ステロイド

痛みや炎症を抑える目的で使われますが、長期使用には注意が必要です。

症状や検査結果を見ながら、患者さん一人ひとりに最適な治療を検討していきます。

関節リウマチの合併症

関節リウマチは関節だけでなく、全身に影響を及ぼすことがあります。

• 肺の病気（間質性肺炎など）
• 骨粗鬆症
• 動脈硬化・心血管疾患
• 貧血や腎障害
• 感染症（特に生物学的製剤や免疫抑制薬使用中）

定期的な検査や身体の変化への注意が重要です。

生活上の注意

治療とあわせて、日々の生活を見直すことも大切です。

• 無理をしすぎず、適度に休む
• バランスの良い食事・規則正しい生活を心がける
• 感染症対策（手洗い・うがい・ワクチン接種など）を徹底する
• 関節を冷やさない・過度な負担を避ける
• 適度な運動やリハビリで関節の動きを維持する

当院では、治療に加え、日常生活に関するご相談も承っております。症状の変化や不安なことがありましたら、お気軽にご相談ください。

女性の更年期障害とは

更年期障害は、女性の閉経前後（一般的には45歳〜55歳頃）に現れる心身の不調の総称です。女性ホルモン（エストロゲン）の急激な減少により、自律神経のバランスが乱れ、さまざまな身体的・精神的症状が現れます。
「年齢のせいだから仕方ない」と我慢される方も多いですが、日常生活に支障をきたすようなつらい症状が続く場合は、治療の対象となります。更年期はすべての女性に訪れる自然なライフステージですが、その過ごし方次第で心身の健康に大きな影響を与えます。

更年期障害の主な症状

更年期障害の症状は非常に多彩で、以下のようなものが見られます。

• ホットフラッシュ（ほてり・のぼせ・急な発汗）
• 動悸・息切れ
• 頭痛・肩こり・腰痛
• めまい・ふらつき
• 不眠・中途覚醒
• イライラ・不安感・抑うつ気分
• 疲れやすさ・集中力の低下
• 月経の乱れや閉経

個人差が大きく、複数の症状が重なって現れる方もいれば、比較的軽く済む方もいます。

更年期障害の診断

診断は、問診（症状や月経の状況の確認）を中心に、必要に応じてホルモンの血液検査などを行って、他の病気との鑑別をします。
更年期障害の症状は、甲状腺疾患やうつ病など他の病気と似ている場合もあり、慎重な判断が必要です。

簡易更年期指数（SMI）チェックシート

以下の各質問について、該当する点数をつけてください。

出典： 小山嵩夫, 産婦人科漢方研究のあゆみ, 9, 30-34, 1992 改変

更年期指数の自己採点の評価法

0〜25点	更年期を上手に乗り越えています。現在の生活習慣を維持しながら、無理のない毎日を続けていきましょう。
26〜50点	生活習慣の見直しが大切な時期です。食事内容や運動習慣に気を配り、ストレスをためない生活を心がけましょう。必要に応じて医師に相談することもおすすめです。
51〜65点	更年期症状が日常生活に影響を与え始めている可能性があります。医師の診察を受け、生活指導やカウンセリング、必要であれば薬物療法などを検討しましょう。
66〜80点	症状が強く、継続的な治療が必要な状態です。半年以上の中長期的な治療計画のもと、専門的なサポートを受けることが望まれます。
81〜100点	更年期障害以外の病気が隠れている可能性もあります。各診療科での精密検査を受けたうえで、更年期障害と診断された場合は、専門医による長期的な治療・ケアをしっかりと受けましょう。

更年期障害の治療

更年期障害の治療は、症状の程度や生活スタイル、ご希望に応じて対応します。

プラセンタ療法

プラセンタ療法とは、ヒトの胎盤から抽出された有効成分を注射で取り入れることで、ホルモンバランスを整えたり、疲労感や不調を改善したりする自然由来の治療法です。

漢方薬治療

体質や症状に合わせて、自然なバランスを整える治療法です。ホルモン治療に抵抗がある方にも選ばれています。

抗うつ薬・抗不安薬の使用

気分の落ち込みや不安感が強い場合、必要に応じて使用します。

※婦人科領域の病気が疑われる場合や、専門的な検査・ホルモン治療が必要なケースでは、専門医療機関をご紹介します。

生活上の注意

治療に加えて、日常生活の見直しも更年期障害の改善に重要です。

• 十分な睡眠と休養
• バランスの取れた食事（カルシウム・ビタミンDなど）
• 軽い運動やストレッチ
• ストレスマネジメント（趣味・リラックス）

一人で抱え込まず、気になる症状があればお気軽にご相談ください。