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糖尿病性腎症の“四本柱(Four Pillars)”とは? 心腎保護をめざす最新治療戦略 

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糖尿病性腎症の“四本柱(Four Pillars)”とは? 心腎保護をめざす最新治療戦略|日進市・長久手市・みよし市・東郷町のたがやクリニック 

 

糖尿病性腎症の治療は「心臓と腎臓を守る時代」へ 

糖尿病性腎症(Diabetic Kidney Disease:DKD)は、腎臓だけでなく心臓にも深く関係する病気です。
近年、複数の大規模臨床試験によって、腎不全や心血管イベントを防ぐための新しい治療戦略が明らかになりました。
それが、「四本柱(Four Pillars)」と呼ばれる、以下の4種類の薬剤を組み合わせた治療です。

  • ・RAS阻害薬(ACE阻害薬・ARB)

  • ・SGLT2阻害薬

  • ・非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(ns-MRA)

  • ・GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)

それぞれが異なるメカニズムで腎臓と心臓を守り、組み合わせることで相乗的な効果を発揮します。

 

四本柱の全体像と目的

四本柱は、糖尿病性腎症の進行を遅らせるだけでなく、心不全や動脈硬化などの合併症を防ぐことを目的としています。
腎臓・心臓・代謝の三方向から包括的に守るという考え方が、最新の治療方針の中心にあります。

  • ・1剤での治療では限界がある

  • ・多面的な作用をもつ薬を組み合わせることが鍵

  • ・投与ごとに腎機能・血圧・電解質をモニタリングして安全に使用

 

1)RAS阻害薬(ACE阻害薬/ARB)— 糖尿病腎症治療の“原点” 

作用機序と効果 

レニン-アンジオテンシン系(RAS)を遮断し、糸球体内圧を低下させて蛋白尿を減らし腎保護効果を発揮します。
また、心不全や心血管イベント抑制効果も示されています。

注意点 

  • ・投与初期にクレアチニンが一時的に上昇することがあります

  • ・高カリウム血症に注意が必要

  • ・妊婦は禁忌、両側腎動脈狭窄では慎重投与

 

2)SGLT2阻害薬 — 腎・心を守る新時代の中心薬 

作用機序と効果 

腎臓で糖とナトリウムの再吸収を抑え、尿中に排出することで血糖を下げます。
同時に糸球体の過剰濾過を改善し、血圧や体液量を適正化することで腎機能低下と心不全を防ぎます

注意点 

  • ・導入直後に一過性のeGFR低下が見られることがあります(生理的反応)

  • ・体液量減少や尿路・外陰部感染に注意

  • ・低eGFRでも効果が示されつつあり、薬剤ごとの適応下限を確認して使用します

 

3)非ステロイド型選択的MR拮抗薬(ns-MRA)— フィネレノンの登場 

作用機序と効果 

炎症や線維化を抑制することで、腎臓の慢性変化を防ぐ作用があります。
従来のスピロノラクトンなどと異なり、ホルモン様副作用が少ないのが特徴です。

注意点 

  • ・高カリウム血症に注意が必要

  • ・定期的に血清K・Crをチェック

  • ・他剤との併用時は電解質バランスに配慮

 

4)GLP-1受容体作動薬 — 代謝改善+心血管保護+腎保護 

作用機序と効果 

インクレチン作用を強化し、血糖・体重・血圧・脂質を改善します。
さらに抗炎症・抗線維化作用により、腎保護効果や心血管イベント抑制効果が報告されています。

注意点 

  • ・主に注射薬(経口製剤も一部あり)

  • ・消化器症状(悪心・食欲低下)に注意

  • ・体重減少効果があり、メタボリック改善にも有用

 

四本柱の導入順と併用のポイント

  1. RAS阻害薬をまず導入(高血圧・蛋白尿対策)

  2. SGLT2阻害薬を早期追加(心腎保護の中核)

  3. リスクの高い症例にns-MRAを追加

  4. 体重・代謝管理や心血管保護目的にGLP-1RAを検討

これらを段階的に導入し、副作用をチェックしながら最適な組み合わせを構築します。

 

日進市のたがやクリニックの取り組み

たがやクリニックでは、糖尿病性腎症の進行抑制と心血管予防を目的に、
最新エビデンスに基づいた「四本柱」治療を個々の患者さんに合わせて提案しています。

血糖・血圧・脂質・体重の総合管理を行い、腎臓を守りながら透析を防ぐことを目標としています。
地域の皆さまと共に、心腎を守る医療を進めてまいります。

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