コロナ陽性で抗ウイルス薬は必要?ゾコーバ・ラゲブリオ・パキロビッド・レムデシビルの違いとエビデンス
コロナ陽性で抗ウイルス薬は必要?ゾコーバ・ラゲブリオ・パキロビッド・レムデシビルの違いと最新エビデンス
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染したとき、「抗ウイルス薬を飲んだほうがいいのか?」と悩まれる方は少なくありません。
2025年現在、日本で承認されている抗ウイルス薬は以下の4種類です。
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ゾコーバ(エンシトレルビル)
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ラゲブリオ(モルヌピラビル)
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パキロビッドパック(ニルマトレルビル/リトナビル)
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レムデシビル(点滴薬)
これらの薬にはそれぞれ特徴があり、対象となる患者さんや効果に違いがあります。ここでは、ガイドライン(厚生労働省・日本感染症学会)や公開されている臨床試験結果に基づき、薬の違いをご紹介します。
新型コロナの重症度と重症化リスク
重症度分類(厚労省基準)
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軽症:発熱、咽頭痛、咳のみ。呼吸困難なし、酸素不要。
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中等症Ⅰ:軽度の呼吸困難や肺炎像あり。SpO₂ 93〜96%。
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中等症Ⅱ:酸素が必要(SpO₂ 93%以下)。
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重症:人工呼吸器や集中治療が必要。
重症化リスクが高い人
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高齢(65歳以上)
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基礎疾患(糖尿病、心疾患、慢性腎臓病、呼吸器疾患、肥満など)
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免疫抑制状態(移植後、免疫抑制剤使用中、抗がん剤治療中)
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妊娠後期
抗ウイルス薬の種類と特徴(2025年時点)
ゾコーバ(エンシトレルビル)
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特徴:国内開発薬。発症から5日以内に内服開始。
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効果:発熱・咽頭痛などの症状改善を早める可能性。
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対象:全年齢の成人・小児(12歳以上)で重症化リスクがなくても使用可。
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注意点:妊娠中は推奨されず、授乳中も注意。
ラゲブリオ(モルヌピラビル)
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特徴:海外で開発。発症5日以内に1日2回×5日間。
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効果:高リスク患者の入院・死亡リスクを減らす(主に初期株〜デルタ株期のデータ)。
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対象:重症化リスクのある成人。
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注意点:妊婦禁忌。避妊必要期間あり。
パキロビッドパック(ニルマトレルビル/リトナビル)
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特徴:発症5日以内。最も高い重症化予防効果が報告されている。
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効果:高リスク成人の入院・死亡を約88%減らすとする初期試験(オミクロン株以降では効果はやや低下報告あり)。
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注意点:薬物相互作用が非常に多く、内服薬の確認必須。腎機能・肝機能にも注意。
レムデシビル(点滴薬)
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特徴:発症7日以内に投与。入院患者や酸素が必要な例に使用。
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効果:重症化予防・入院期間短縮。
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注意点:点滴投与のため入院や通院が必要。
薬の比較とエビデンス
薬剤名 | 投与方法 | 対象患者 | 主な効果 | 注意点 |
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ゾコーバ | 内服(1日1回×5日) | 12歳以上すべて | 症状改善を早める可能性 | 妊婦非推奨 |
ラゲブリオ | 内服(1日2回×5日) | 高リスク成人 | 入院・死亡リスク減 | 妊婦禁忌 |
パキロビッド | 内服(1日2回×5日) | 高リスク成人 | 入院・死亡リスク大幅減 | 相互作用多い |
レムデシビル | 点滴 | 中等症〜重症 | 入院期間短縮 | 入院必要 |
※エビデンスは株の種類や時期によって変化します。
抗ウイルス薬が必要な場合・不要な場合
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必要:重症化リスクがある/症状がつらく日常生活が困難/発症から5日以内
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不要:若く健康で軽症/発症から6日以上経過し症状改善傾向
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薬の選択は年齢・基礎疾患・薬の相互作用・妊娠授乳の有無など総合的に判断します。
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2025年時点での情報を掲載していますが、ガイドラインや適応は変わる可能性があります。
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最新情報を知りたい場合は、厚生労働省や日本感染症学会の公式情報をご確認ください。