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ネフローゼ症候群とは?浮腫(むくみ)の原因と治療、早期受診のすすめ

内科  / 腎臓内科

ネフローゼ症候群とは?浮腫(むくみ)の原因と治療、早期受診のすすめ|日進市・長久手市・東郷町・みよし市のたがやクリニック


ネフローゼ症候群とは?

ネフローゼ症候群は、腎臓の「ろ過機能(糸球体)」に異常が起こり、大量のたんぱく質が尿中に漏れ出てしまう病気です。その結果、血液中のたんぱく質(特にアルブミン)が減少し、血管の中の水分が外にしみ出すことで、体にむくみ(浮腫)が生じます。

子どもから大人まで幅広い年代で見られますが、特に成人のネフローゼ症候群では、慢性腎臓病や腎不全に進行するリスクがあるため、早期診断・治療がとても重要です。


【なぜむくむの?】 ENaCの活性がカギ

ネフローゼ症候群で生じる浮腫(むくみ)には、血中のアルブミン低下による「浸透圧の低下」に加え、腎臓でのナトリウム再吸収の亢進も関与しています。

このとき重要なのが、「ENaC=上皮性ナトリウムチャネル」の活性化です。ENaCが過剰に働くことで、腎臓はナトリウムと水分を過剰に体内に取り込んでしまい、さらにむくみが悪化するという悪循環が起こります。


ネフローゼ症候群の原因は?

ネフローゼ症候群には、以下のようにさまざまな原因があります。

原発性(一次性)ネフローゼ症候群

  • 微小変化型ネフローゼ症候群(小児に多いが成人にもみられる)

  • 膜性腎症

  • 巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)

続発性(二次性)ネフローゼ症候群

  • 糖尿病性腎症

  • 全身性エリテマトーデス(SLE)などの膠原病

  • 感染症(B型肝炎、梅毒など)

  • 薬剤性(NSAIDs、金製剤など)

  • アミロイドーシスや悪性腫瘍に関連することも


ネフローゼ症候群で問題になること(浮腫以外の合併症)

ネフローゼ症候群は単なる「むくみ」だけの病気ではありません。以下のような全身合併症が問題となります。

  • 血栓症(特に深部静脈血栓や肺塞栓)
    → アンチトロンビンⅢの低下や凝固能の亢進が関与

  • 感染症にかかりやすくなる
    → 抗体のもととなるたんぱく質が減少

  • 高脂血症
    → アルブミンの減少を補おうとして肝臓が脂質を多く作る

  • 栄養失調・筋力低下
    → 長期間のたんぱく尿により、栄養素の不足が進むことも


治療抵抗性のネフローゼとは?

ステロイドなどの薬物療法で改善しにくいケース(ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群)では、以下のような治療戦略がとられます。

  • 免疫抑制薬(シクロスポリン、タクロリムス、リツキシマブなど)

  • 食事療法(塩分・たんぱくコントロール)

  • 利尿薬・抗血栓薬などの補助療法

治療抵抗性の背景には、FSGS(巣状分節性糸球体硬化症)や二次性の腎疾患が隠れていることもあります。腎生検などを行い、正確な診断をつけることが治療方針の鍵となります。


まとめ|むくみやたんぱく尿は放置しないで

ネフローゼ症候群は、日常生活で見過ごされやすい「むくみ」や「尿の異常」から始まりますが、早期発見と適切な治療でコントロールが可能な病気です。むくみが長引く、尿に泡が多い、健診で尿たんぱくを指摘された──そんなときは早めの受診が大切です。

たがやクリニックでは、血液検査・尿検査をもとに腎疾患の早期発見と適切な治療を行っています。日進市だけでなく、長久手市・東郷町・みよし市からのご相談・ご受診もお待ちしております。

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