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ヒアルロン酸注入に込めているこだわりと、安全性への取り組み

美容

ヒアルロン酸注入は、顎ヒアルや額ヒアルのように形を大きく変えるといこと以外にも、表情の印象を変えることができます。「変わった」とは言われずに、「最近、なんだかいい感じ」と言ってもらえるような、ごく自然な変化。
それを目指す方にとって、ヒアルロン酸治療はとても優れた選択肢です。

ヒアルロン酸治療は、「1ccでどこまで変わるか」ではなく、「0.05ccずつ、どう重ねていくか」で結果が変わります。この繊細な注入には、解剖学の知識だけでなく、手の感覚・経験・観察力すべてが求められます。

実際には、0.05cc単位で違いが出せる医師は、正直なところまだ多くはありません。
ただ、私は自分のことを「特別にすごい」と言いたいわけではありません。
「ひとつひとつに理由を持つ」ことを、丁寧に積み重ねている、ということだけは胸を張って言えます。

そしてそれこそが私のこだわりかなと思っております。

もう1つこだわりがあります。それは安全性への取り組みです。

ヒアルロン酸注入は、医療行為です。だからこそ、どんなに技術を磨いても、合併症のリスクを0にすることはできません

それでも私は、0に“近づける努力”をやめたくありません。
そのために、以下のような取り組みを日々行っています。

リスクを下げるために、私が行っていること

① 解剖の勉強を続けること

ヒアルロン酸注入で最も重篤な合併症のひとつが「血管塞栓」です。
特に顔面動脈が走る“尾翼基部(鼻の付け根の外側)”はリスクの高い部位のひとつ。

私はこのような部位への注入を行う際、解剖学の教科書や最新論文での勉強はもちろん、海外での解剖実習にも繰り返し参加し、実際に顔に触れて、「この方の動脈はどこにあるか」を毎回確かめることを欠かしません。

解剖は、知識だけではなく「立体的なイメージ力」として身体に染み込ませることが大切だと感じています。

② アスピレーションは「意味のあるやり方」で

カニューレを使う場面でも、針を使う場面でも、アスピレーション(注入前の逆血チェック)は重要です。

ただし、使う製剤の粘度や針の太さ、カニューレの長さによって、逆血が確認できるまでの時間は異なります
「形だけアスピレーション」ではなく、その状況で“意味のあるチェック”ができているかにこだわっています。

③ 注入中の“変化”を、常に観察すること

皮膚の色調、患者さんの痛みの感じ方、注入した量に対する形の変化。これらを、一瞬一瞬、常に観察し続けることも、リスクを下げるうえで欠かせません。「この量で、この位置に入れたなら、こう変化するはず」。すべてに理由と予測があるか?自問しながら注入することで、万が一の兆候を早く捉えることができます。

そして、万が一の備えもしっかりしています。

ありがたいことに、これまで私自身の患者さんで塞栓を起こしたケースはありません
しかし、過去に他院で発生した塞栓症例のご紹介を受け、対応させていただいた経験は何度もあります。

その経験から学んだことは、
合併症はゼロにはできない。でも、“起きたときに何をどうするか”は、準備しておける」ということです。

「ヒアルロン酸って、不自然になりませんか?」そう尋ねられることは少なくありません。

でも私は、自信を持ってお伝えしたいです。

適切な量を、適切な場所に、適切な方法で注入すれば、ヒアルロン酸は“とても自然な変化”をもたらす治療です。

そして同時に、医師側に深い理解と準備がなければ、本当の安全性は得られないことも、知っておいていただきたいと思います。