ロキソニンは腎臓に悪い? ~痛み止めと腎臓病の関係を日進市の腎臓専門医が解説~
ロキソニンは腎臓に悪い? ~痛み止めと腎臓病の関係を日進市の腎臓専門医が解説~
ロキソニンはNSAIDsの一つです
頭痛・腰痛・関節痛などの痛みに広く使われるロキソニン(一般名:ロキソプロフェン)。
「ドラッグストアでも買えるから安心」と思われがちですが、
腎臓に負担をかける可能性がある薬でもあります。
特に、慢性腎臓病(CKD)をお持ちの方や、高血圧・糖尿病・心疾患などで腎機能が弱っている方は注意が必要です。
今回は、ロキソニンを代表とするNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)がなぜ腎臓に影響するのかを、
専門医の立場からわかりやすく解説します。
ロキソニンなどNSAIDsのはたらき
ロキソニンは「痛みや炎症を抑える」薬です。
その仕組みは、プロスタグランジンという体内物質の働きを抑えることにあります。
このプロスタグランジンは、炎症を起こす原因物質でもありますが、
実は腎臓の血流を保つ重要な役割も担っています。
そのため、NSAIDsを使うと腎臓の血流が減ってしまい、
結果として腎臓の働き(ろ過機能:GFR)が低下することがあります。
なぜ腎臓病の人はロキソニンに注意が必要?
腎臓では、血液が輸入細動脈→糸球体→輸出細動脈という経路で流れ、
老廃物をろ過して尿を作ります。
NSAIDsは、このうち輸入細動脈を収縮させるため、
糸球体に流れ込む血液が減少し、腎臓全体の機能が落ちてしまいます。
健康な方なら一時的な使用で問題ないことが多いのですが、
腎臓病がある方では腎血流の「予備力」が少なく、
NSAIDsによって急性腎障害(AKI)を起こすことがあります。
特に以下のような条件が重なるとリスクが高くなります:
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・脱水(発熱・嘔吐・下痢など)
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・高齢(動脈硬化による腎血流低下)
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・利尿薬、ACE阻害薬、ARBとの併用
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・糖尿病・心不全・高血圧などの持病
NSAIDsでむくみ(浮腫)が出るのはなぜ?
NSAIDsを使用すると、「足がむくむ」「顔が腫れぼったい」などの浮腫が出ることがあります。
これは、腎臓でナトリウム(塩分)と水の排泄が抑えられ、
体内に余分な水分が溜まってしまうためです。
この影響で、
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・体重の増加
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・高血圧の悪化
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・心不全の悪化
などを招くこともあります。
腎臓病や心臓病のある方では、NSAIDsによる浮腫が重症化しやすいため、
軽いむくみでも注意が必要です。
まれにネフローゼ症候群を起こすことも
NSAIDsはまれに、薬剤性のネフローゼ症候群(尿に大量のタンパクが出る状態)を引き起こすことがあります。
この場合、顔や全身のむくみ、尿が泡立つ、体重が急に増えるなどの症状が見られます。
原因は、NSAIDsが腎臓の糸球体や間質に炎症を起こすためで、
病理学的には「微小変化型ネフローゼ症候群」や「間質性腎炎」が報告されています。
服用を中止すれば改善することもありますが、
重症例では入院やステロイド治療が必要になる場合もあります。
どんなときに医療機関を受診すべき?
以下のような症状がある場合は、NSAIDsによる腎障害の可能性があります。
早めに受診し、血液・尿検査で腎機能を確認しましょう。
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・尿の量が減った、むくみが強い
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・尿が泡立つ
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・体重が急に増えた
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・倦怠感・食欲低下・息切れ
日進市のたがやクリニックへご相談ください
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・NSAIDs(ロキソニンなど)は腎臓の血流を減らし、腎機能を低下させる可能性がある
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・腎臓病・高血圧・糖尿病・心不全の方は特に注意
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・むくみやネフローゼ症候群を引き起こすこともある
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・使用は短期間・必要最小限にとどめる
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・体調不良時や脱水時には避ける
お悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。