TOPへ

ブログ

寒くなるとトイレが近い?冬の頻尿と薬の注意点 ― 抗コリン薬・β3受容体刺激薬による尿閉リスク ―

内科  / 内科一般  / 泌尿器科

寒くなるとトイレが近い?冬の頻尿と薬の注意点― 抗コリン薬・β3受容体刺激薬による尿閉リスク ―

 

寒くなると頻尿が増えるのはなぜ?

寒い季節になると「トイレが近くなった」と感じる方は少なくありません。これは気のせいではなく、いくつかの医学的な理由があります。

気温が下がると、体は体温を保つために血管を収縮させます。その結果、体の中心部の血液量が増え、腎臓での尿の産生が一時的に増加します。また、寒さによって発汗が減ることも、尿量が増える一因です。

さらに、寒冷刺激は膀胱を収縮しやすくし、尿意を感じやすくします。とくに高齢の方や、もともと膀胱が過敏な方では、冬場に頻尿症状が目立ちやすくなります。

 

冬に多い「頻尿」の背景にある病態

頻尿は単なる加齢現象ではなく、背景にさまざまな病態が隠れていることがあります。

過活動膀胱

過活動膀胱は、「急に我慢できない尿意(尿意切迫感)」を特徴とし、寒冷刺激によって症状が悪化しやすい疾患です。夜間頻尿を伴うことも多く、生活の質を大きく低下させます。

前立腺肥大症

男性では、前立腺肥大症が冬場の頻尿・排尿困難の原因となることがあります。寒さによる交感神経の緊張は、前立腺や尿道の平滑筋を収縮させ、排尿障害を悪化させます。

心不全・高血圧・睡眠障害との関連

夜間頻尿は、心不全や高血圧、睡眠時無呼吸症候群などと関連することもあります。頻尿だけに注目せず、全身状態を評価することが重要です。

 

頻尿治療に使われる薬

頻尿や過活動膀胱の治療では、主に以下の薬剤が用いられます。

抗コリン薬

抗コリン薬は、膀胱の過剰な収縮を抑えることで、尿意切迫感や頻尿を改善します。一方で、副作用として口渇、便秘、目のかすみ、そして注意すべき点として「尿閉」のリスクがあります。

β3受容体刺激薬

β3受容体刺激薬は、膀胱をリラックスさせて尿をためやすくする薬で、抗コリン薬に比べて口渇や便秘が少ないとされています。近年、使用頻度が増えている薬剤です。

 

冬に注意したい「尿閉」のリスク

寒い時期は、もともと排尿機能に問題を抱えている方で「尿が出にくくなる」「残尿感が強くなる」といった症状が出やすくなります。

抗コリン薬やβ3受容体刺激薬は、適切に使用すれば有効な治療薬ですが、前立腺肥大症がある男性や、排尿筋の力が低下している高齢者では、尿が出なくなる「尿閉」を起こす可能性があります。

とくに、薬を飲み始めた後に ・尿が出にくい ・下腹部の張りや痛み ・トイレに行ってもほとんど出ない といった症状があれば、早めの受診が必要です。

 

大切にしていること

頻尿の治療では、「症状があるからすぐ薬を出す」ことが最善とは限りません。原因が膀胱にあるのか、前立腺なのか、全身疾患や生活習慣が影響しているのかを見極めることが重要です。

また、寒い時期の頻尿では、 ・水分摂取のタイミング ・体を冷やさない工夫 ・塩分やカフェインの摂取量 といった生活指導だけで改善するケースもあります。

たがやクリニックでは、症状・年齢・基礎疾患・内服薬を総合的に評価し、安全性を重視した治療を行っています。

 

こんなときは日進市のたがやクリニックへご相談ください

・冬になると頻尿が悪化する

・薬を飲み始めてから尿が出にくい

・夜間頻尿で眠れない

・前立腺肥大症や持病があり薬の影響が心配

日進市、長久手市、みよし市、東郷町周辺で、寒い時期の頻尿や排尿トラブルにお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

予約(当日予約いただけます)

膀胱炎はくり返す?排尿時の痛み・頻尿・再発に注意

骨盤底筋トレーニングで尿もれ・頻尿・姿勢改善!女性・男性どちらにも大切なケア習慣

過活動膀胱(OAB)は意外と多い?年齢・性別でみる発症率とその背景

夜間頻尿の原因は実は睡眠時無呼吸症候群?

眠れない・中途覚醒・夜間頻尿でお悩みの方へ~睡眠障害と生活習慣病の関係

過活動膀胱に関して詳しく