息切れ・だるさ…実は腎臓が原因?「腎性貧血」とは
息切れ・だるさ…実は腎臓が原因?「腎性貧血」とは
慢性腎臓病(CKD)が進行してくると、腎臓のろ過機能だけでなく、「造血(赤血球をつくる力)」にも影響が出ます。
その結果として生じる腎性貧血(じんせいひんけつ)は、
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・日常生活の疲労感
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・息切れ
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・集中力の低下
などの症状に直結し、放置すると心血管リスクが高まることが分かっています。
腎性貧血は血液検査で正確に評価でき、治療により改善が期待できる疾患です。
腎性貧血とは
腎性貧血は、腎臓機能の低下に伴い、赤血球をつくるために必要なホルモンエリスロポエチン(EPO)の産生が不足することで起こる貧血です。
さらに近年の研究では、
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・慢性炎症(CKDでは低度の炎症が持続しやすい)
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・ヘプシジン上昇による鉄利用障害
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・骨髄反応性の低下
なども腎性貧血の発症に関与していることが明らかになっています。
つまり、腎性貧血は「単なるEPO不足」ではなく、腎不全に伴う多因子性の貧血といえます。
腎性貧血の原因
1. エリスロポエチン(EPO)の産生低下
腎臓の間質細胞で作られるEPOが減少することで、骨髄での赤血球産生が低下します。
特に、eGFR30 mL/min/1.73m²以下で顕著に低下し、CKDステージ3b〜5で高頻度に認められます。
2. 鉄欠乏・鉄利用障害
CKDでは炎症性サイトカイン(IL-6など)の産生が増え、ヘプシジン(鉄代謝の調整ホルモン)が上昇します。
ヘプシジンが高いと、
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・鉄が腸から吸収されにくくなる
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・貯蔵鉄(フェリチン)はあるのに利用されない「機能的鉄欠乏」が生じる
という状態に。
このため、フェリチンだけでは評価が不十分で、TSAT(トランスフェリン飽和度)の測定が重要となります。
3. 栄養摂取不足・吸収障害
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・葉酸
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・ビタミンB12
の不足が合併していると、貧血がより進みます。
高齢者や食事制限中のCKD患者では見逃されやすいポイントです。
腎性貧血の症状(より深く)
貧血は緩徐に進行するため、「年齢のせい」と誤解されがちです。
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・労作時の息切れ
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・起床時の倦怠感
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・冷え
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・動悸
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・集中力の低下
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・夜間のむくみの増悪
また、腎性貧血が続くと心肥大を引き起こし、心血管イベントのリスクが上昇することが数多く報告されています。
検査内容と読み方
1. ヘモグロビン(Hb)
CKD患者の腎性貧血は、Hb値が10 g/dL前後を目安に治療介入を検討します。
透析前後、性別、体格によって目標値は調整します。
2. 鉄関連指標
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・TSAT(トランスフェリン飽和度):20%未満で鉄不足を疑う
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・フェリチン:100 ng/mL未満で鉄欠乏
CKDでは、炎症によりフェリチンが高値になりやすいため、TSATの評価が必須です。
3. 網赤血球(Retic)
赤血球の産生能力を評価でき、治療効果の判定にも有用。
4. 腎機能
Cr、eGFRは腎性貧血評価の大前提。eGFR低下が重度になるほど発症率は上がります。
腎性貧血の治療(最新知見を含めて詳しく)
① 鉄剤(内服・静注)
鉄不足がある場合は、まず「鉄補充」が基本です。
特にCKD患者では、
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・経口鉄は吸収が不安定
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・胃腸障害のリスク
があるため、静注鉄剤が選択されることもあります。
鉄補充だけでHbが改善するケースもあり、特にHIF-PH阻害薬を使用する場合は鉄補充が必須です。
② ESA製剤(エリスロポエチン製剤)
古くから腎性貧血の第一選択として使用されてきた治療です。、皮下注射または静注で投与します。
心血管イベントを避けるため、Hbは13 g/dLを超えないよう管理することが推奨されています。
③ HIF-PH阻害薬(内服)
近年登場した腎性貧血の新しい治療薬。
体内でHIF(低酸素誘導因子)を安定化させ、
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・自然なEPO産生
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・鉄代謝の改善
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・ヘプシジン抑制
を促して、赤血球産生を高めます。
透析患者だけでなく非透析のCKD患者にも使用可能なのが大きな特徴です。
放置するとどうなる?
腎性貧血を放置すると、
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・左室肥大
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・心不全
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・動脈硬化の進行
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・腎機能悪化
などのリスクが上がることが、国内外の大規模研究で示されています。
特に、貧血と腎機能低下は互いに悪循環を形成するため、早期介入が極めて重要です。
たがやクリニックでの腎性貧血診療
当院では、
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・CKDのステージ分類
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・鉄・栄養状態の包括評価
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・ESA製剤の適切な導入・調整
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・HIF-PH阻害薬の処方
まで、ガイドラインに基づいた総合的な治療を行っています。
日進市のみならず、長久手市・みよし市・東郷町からも腎臓病のご相談をいただいています。
「疲れやすさが続く」「健診の腎機能が気になる」という方は、どうぞ早めにご相談ください。
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