湿布薬は腎臓に悪い?~「安全とはいえ注意が必要なポイント」~
湿布薬は腎臓に悪い?~日進市・長久手市・みよし市・東郷町で知っておきたい「安全とはいえ注意が必要なポイント」~
手軽に使える湿布薬にも注意が必要です
肩こりや腰痛、関節痛などで「とりあえず湿布を貼る」という方は多いと思います。
最近では、ロキソニンテープなどのNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)含有の湿布薬が市販でも購入でき、痛みの緩和に役立っています。
しかし、使用法を誤ると皮膚トラブルや腎臓への負担につながることがあり、注意が必要です。
今回は、腎機能との関係、かぶれの予防などを踏まえて詳しく解説します。
ロキソニンテープなどの湿布薬は腎臓に負担をかける?
湿布薬は「皮膚から成分を吸収する」経皮吸収薬です。
経口のNSAIDsと異なり、血中濃度が非常に低いため、腎臓への影響は基本的にほとんどありません。
日本腎臓学会の「CKD診療ガイド2023」でも、経皮吸収型NSAIDsによる腎障害リスクは低いとされています。
ただし、長期間・広範囲に貼付する場合や、高齢者・脱水・CKDの方では、微量でも腎機能に影響を及ぼす可能性が報告されています。
一部の湿布薬は、全身吸収率が比較的高いため、慢性腎臓病のある方では医師に相談のうえで使用してください。
「湿布薬の安全性」
近年の研究により、「経皮NSAIDsも完全に安全とはいえない」ことが報告されています。
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・Yamamotoら(Clin Drug Investig, 2022)は、日本の大規模コホート研究で、
貼付型NSAIDsの使用による重篤な腎障害リスクは経口薬より低いとしながらも、
長期使用や高齢者ではリスクがゼロではないと指摘しました。
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・Sasakiら(Ther Clin Risk Manag, 2023)は、
貼付型NSAIDsの使用と急性腎障害(AKI)の関連を調査し、
「利尿薬やACE阻害薬・ARBなどの併用では腎障害リスクが上昇する可能性がある」と報告しました。
これらの結果から、
「湿布薬は安全性が高いとはいえ、腎臓に不安がある人では注意が必要」と考えられます。
湿布薬でかぶれ・光線過敏症を起こすことがあります
湿布薬には鎮痛成分以外にも、メントールや防腐剤、粘着剤などの成分が含まれています。
これらが汗や日光と反応して皮膚に炎症を起こす「接触皮膚炎」や「光線過敏症」が見られることがあります。
特に、ケトプロフェンを含む湿布薬は、貼った部位に紫外線が当たると強い炎症を起こすことがあります。
これを防ぐには、
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・貼った部位を直射日光に当てない
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・使用後も数日間は紫外線を避ける
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・発赤やかゆみが出たらすぐに使用を中止し、皮膚科へ相談
といった対応が重要です。
湿布薬を安全に使うためのポイント
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痛みが強いときだけ使う(常用は避ける)
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1日に貼り替えるのは1回まで
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広範囲や長時間貼らない
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皮膚に異常があれば使用を中止
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腎臓病・高血圧・心疾患のある方は医師に相談
特に高齢の方や糖尿病・CKDの方では、他の薬との併用にも注意が必要です。
自己判断せず、医師や薬剤師に確認して使いましょう。
日進市のたがやクリニックへご相談ください
湿布薬は正しく使えば、安全で効果的な痛みのコントロール手段です。
ただし、「腎臓に負担がないから安心」と油断せず、用法・用量を守ること、紫外線やかぶれに注意することが大切です。
特に慢性腎臓病や糖尿病のある方は、湿布薬も含めた薬の管理を医師と一緒に行いましょう。