甲状腺とコレステロールの深い関係 ― LDLが高い時は“甲状腺機能”もチェックを
甲状腺とコレステロールの深い関係 ― LDLが高い時は“甲状腺機能”もチェックを(日進市・長久手市・みよし市・東郷町)
甲状腺ホルモンとLDLコレステロールは密接に関連しています
甲状腺ホルモンは“代謝のアクセル”の役割を持ち、体全体のエネルギー消費や脂質代謝を細かく調整しています。
このホルモンが低下すると、代謝スピードが落ち、血液中の脂質が処理されにくくなります。特にLDLコレステロール(悪玉コレステロール)は顕著に増加し、脂質異常症の背景に甲状腺異常が隠れていることも多くみられます。
甲状腺機能低下症がLDLを上昇させる詳しいメカニズム
肝臓のLDL受容体が減り、血中LDLが増える
甲状腺ホルモンは、肝臓のLDL受容体を増やし、血中のLDLを回収して分解する働きを促進します。
ホルモンが不足すると
・・LDL受容体の発現が減る
・・LDLの取り込みが低下する
その結果、血中にLDLが残存し、高値となります。
コレステロールの合成と分解のバランスが崩れる
・・胆汁酸の生成が減る(コレステロールの出口が減る)
・・脂質代謝酵素の働きも弱まる
このため、軽度の甲状腺機能低下でもLDLが上昇しやすくなります。
潜在性甲状腺機能低下症でもリスクが上がる
TSHのみが軽度上昇する“潜在性甲状腺機能低下症”でも、LDLが高くなり動脈硬化の進行リスクが高まることが報告されています。
甲状腺治療によりLDLが自然と下がることも
甲状腺ホルモンを補う治療が適切に行われると、
・・LDLが20〜30%程度低下する
・・中性脂肪が改善する
・・HDL(善玉コレステロール)が増える
といった改善が見られることがあります。
脂質異常症が薬で改善しにくい場合、甲状腺をチェックすることは非常に重要です。
男女差・年齢で異なる甲状腺とコレステロールの関係
女性では40〜60歳を中心に、橋本病(慢性甲状腺炎)による甲状腺ホルモンの低下が多く、脂質異常とセットで見つかることがあります。
高齢者では、疲れやすさ・物忘れ・皮膚の乾燥など、加齢変化と区別がつきにくいため、甲状腺異常が見逃されやすく、LDL改善が遅れる傾向があります。
LDLが高い方が甲状腺を調べるべきケース
特に以下のような方は甲状腺評価がおすすめです
・・急にLDLが高くなった
・・脂質改善薬を使っても十分に下がらない
・・家族に甲状腺疾患が多い
・・むくみ・寒がり・便秘・肌の乾燥などの症状がある
・・頸動脈エコーで動脈硬化が強いと指摘された
・・メタボではないのにLDLだけ高い
甲状腺ホルモン(TSH・FT4)だけでなく、抗TPO抗体・抗サイログロブリン抗体を測定することで、早期の橋本病を見つけることができます。
LDLコレステロールの評価には「頸動脈エコー」も有用
LDL高値がある方では、頸動脈エコーで動脈硬化(プラーク)の有無やIMT(内膜中膜肥厚)を確認することで、実際の血管リスクをより正確に判断できます。
甲状腺疾患による脂質異常が続くと、動脈硬化の進行スピードが上がることが知られており、定期的なチェックが推奨されます。
日進市のたがやクリニックへご相談ください
脂質異常症は生活習慣だけでなく、内分泌の異常が背景にあることも少なくありません。
LDLコレステロールが高い方・改善しにくい方は、甲状腺機能を含めた総合的な評価が健康維持に役立ちます。
お気軽に日進市のたがやクリニックへご相談ください。
