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痩せて筋肉が少ないのにクレアチニンが高い?原因と注意点 食事や薬も影響する?

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痩せて筋肉が少ないのにクレアチニンが高い?原因と注意点|日進市・長久手市・みよし市・東郷町【たがやクリニック】

クレアチニンと筋肉量の関係

健診で血清クレアチニン値の上昇を指摘されると、多くの方が腎機能低下を疑い、不安を抱かれます。とりわけ痩せ型で筋肉量が少ない方において「なぜ自分が高めの数値なのか」と疑問を持たれるケースは少なくありません。

血清クレアチニンは筋肉に含まれるクレアチンの代謝産物であり、その産生量は基本的に筋肉量に比例します。そのため、一般的には筋肉量の多い方ではクレアチニン値が高めに、筋肉量の少ない方では低めに出やすいと考えられています。しかし実臨床では、この単純な相関だけでは説明できない例が存在します。食事由来の影響、尿細管分泌を抑制する薬剤の使用、さらには遺伝的多型による排泄効率の違いなど、クレアチニン値を変動させる因子は複数知られています。

したがって、腎機能評価においては血清クレアチニン単独では不十分であり、年齢・性別・体格を補正した 推算糸球体濾過量(eGFR) を用いることが推奨されます。さらに筋肉量の影響を受けにくいマーカーとして シスタチンC があり、当院でも必要に応じて測定を行っています。これらを組み合わせて評価することで、より正確な腎機能の把握が可能となります。

シスタチンC検査について

 

クレアチニン値を左右する要因

1. 食事の影響

最も身近なのは食事です。焼肉や魚料理をたくさん食べた翌日には、一時的にクレアチニンが上がることがあります。肉や魚に含まれるクレアチンが調理中にクレアチニンへ変化し、血液検査に反映されるためです。健常な方でも 0.2~0.4 mg/dL 程度の上昇 が見られることがあり、検査前日は肉や魚を控えると正確な数値を得やすくなります。

2. 薬剤による影響

腎臓でのクレアチニン排泄は、糸球体で濾過されるだけでなく、尿細管からの分泌にも支えられています。そのため、一部の薬は「分泌を抑える」ことで見かけ上Creを上げてしまいます。たとえば トリメトプリム、シメチジン、さらに一部の抗HIV薬などが代表的です。この場合、実際の腎機能は悪化していなくても、Creは 0.2~0.4 mg/dL 上昇することがあります。

3. 体質や遺伝的背景

同じ生活習慣でも、家族的にクレアチニンが高めに出る体質の方がいます。これは、腎臓でのクレアチニン輸送に関わるOCTやMATEといった分子の遺伝的多型に関連していると考えられています。つまり「痩せていて筋肉量が少ないのに高めに出る」背景には、体質的な要素もあるのです。

 

専門医からのまとめ

クレアチニンは腎機能を知るうえで大切な指標ですが、筋肉量や食事、薬剤、遺伝的要因によっても数値は大きく影響を受けます。したがって「クレアチニンが高い=腎臓が悪い」とは必ずしも言えません。実際の臨床では、クレアチニン単独ではなく、eGFR、尿検査(特に尿蛋白)、腎エコーなどを組み合わせて総合的に判断することが重要です。

健診でクレアチニン高値を指摘された場合は、自己判断せず腎臓専門医へご相談ください。愛知県の日進市・長久手市・みよし市・東郷町・名古屋市にお住まいの方は、どうぞお気軽に 日進市のたがやクリニック にお越しください。

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健診で「クレアチニンの数値が高い」と指摘された方へ

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