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糸球体過剰濾過とは?―日進市・長久手市・みよし市・東郷町で腎臓病診療「たがやクリニック」

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糸球体過剰濾過とは?―日進市・長久手市・みよし市・東郷町で腎臓病診療に力を入れる「たがやクリニック」より

糸球体過剰濾過とは

糸球体過剰濾過(glomerular hyperfiltration)とは、各ネフロンにおける糸球体濾過率(SNGFR)が生理的範囲を超えて上昇している状態を指します。
臨床的には「全体のGFRは正常〜高値でも、その裏で一部の糸球体が過剰に働きすぎている」状況を意味します。

 

発生機序(代表的なもの)

  1. 糖尿病(特に早期)

  • 高血糖 → 近位尿細管でのNa-グルコース共輸送体(SGLT2)活性↑

  • 遠位尿細管へ届くNaCl量↓ → 緻密斑が「濾過不足」と誤認 → 輸入細動脈拡張

  • 結果:糸球体内圧↑ → SNGFR増加

  1. ネフロン数の減少(慢性腎臓病・腎摘後)

  • 残存ネフロンが代償的に濾過量を増やし、全体のGFRを維持

  • 代償的意義がある一方、長期的には負荷増大 → 糸球体硬化

  1. 高蛋白食

  • タンパク質摂取 → 腎血流増加 → 糸球体内圧上昇

  • 一過性の過剰濾過が誘発される


病態的意義

  • 短期的:代償機構としてGFRを維持

  • 長期的:糸球体内圧上昇が続くと、メサンギウム障害・糸球体硬化を促進 → 腎機能低下

糖尿病腎症、肥満関連腎症、片腎などの進展において中心的な役割を果たします。

臨床での捉え方

SNGFRを直接測定することは困難ですが、以下の所見が糸球体過剰濾過を示唆します。

  • GFRがむしろ高値(例:>120 mL/min/1.73m²)を示す糖尿病早期

  • 正常または高GFRなのにアルブミン尿が出現

  • 病理で糸球体肥大やメサンギウム基質変化を確認


糸球体過剰濾過の臨床病態ごとの主要機序

  • 糖尿病腎症(早期)
    → 主因:TGF破綻、SGLT2活性亢進による輸入細動脈拡張

  • 肥満関連腎症
    → 主因:糸球体肥大(Kf増大)、高代謝状態、RAA系・交感神経活性化

  • 片腎(腎摘後・先天性単腎)
    → 主因:残存ネフロンの代償性過剰濾過(血行動態説+構造的肥大)

  • 高蛋白食による一過性変化
    → 主因:腎血流量増加と糸球体内圧上昇


治療的アプローチ

  1. 血行動態の是正

  • ACE阻害薬 / ARB:輸出細動脈拡張 → 糸球体内圧低下

  • SGLT2阻害薬:尿細管Na再吸収低下 → TGF改善 → 輸入細動脈収縮 → 糸球体内圧低下

  1. 生活習慣修正

  • 適正な蛋白摂取(過剰な高蛋白は避ける)※可能な方だけ推奨させていただきます。

  • 体重管理・血糖・血圧コントロール


腎臓病のサインである糸球体過剰濾過~日進市のたがやクリニックへご相談ください

糸球体過剰濾過は、腎臓が頑張りすぎているサインであり、糖尿病腎症や肥満関連腎症の進展における重要な病態です。
現在の腎臓病治療(RAS阻害薬、SGLT2阻害薬など)は、まさに「過剰濾過の是正」をターゲットにしています。

たがやクリニック(日進市)は腎臓内科専門医として、長久手市・みよし市・東郷町からも患者さまにご来院いただいています。健診や血液検査で腎臓が気になる方はお気軽にご相談ください。

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