美容医療の合併症について考える 〜「きれいになりたい」のその前に〜
美容医療の合併症について考える 〜「きれいになりたい」のその前に〜
美容医療に携わる中で、時折「合併症が怖くて一歩が踏み出せない」という声をいただくことがあります。
不安になるのは当然のこと。
そして、美容は命に関わるものではないからこそ、「やらない選択肢」も、常にそばにある。そんな中で、わざわざ自分のお顔やお身体に手を加えるという決断には、大なり小なりの覚悟が伴うはずです。
今日は、そんな「合併症」について、少し立ち止まって考えてみたいと思います。
合併症には2つの種類がある
「合併症」と聞くと、なんだか一括りに思えてしまいますが、実は大きく分けて2つのタイプがあります。
1つは「医療的な合併症」。もう1つは「人的ミスによる合併症」です。
① 医療的な合併症
これは、どんなに知識があっても、どんなに丁寧に治療をしても、ある一定の確率で起こり得る、いわば“医学的に避けられない”リスクです。たとえば、注入治療であれば腫れや内出血、極めて稀に血流障害や遅発性有害事象なども含まれます。
こうした合併症は、美容医療に限らず、命を救うための外科手術や抗がん剤治療などにも存在します。そして多くの患者さんは、命に関わる疾患の治療においては「それでも治したい」と覚悟を決めてリスクを受け入れているのが現実です。
② 人的ミスによる合併症
一方で、技術的なミスや知識不足、確認不足など、「人が防げた可能性のある」トラブルも存在します。これらは、医療提供者の責任が大きく問われるものですが、実は患者さん側が「誰に治療を託すか」「自分にとって必要な治療か」を冷静に見極めることで、防げる可能性がある場合も少なくありません。
美容医療は「必ずしも必要ではない医療」
命に関わる医療と美容医療の大きな違いは、「やらなければならないもの」ではない、という点です。極論を言えば、すべての美容治療は“やらない”という選択肢がある。
つまり、始めるかどうか、やるかどうかの判断を下す主導権は、100%患者さんにあると言っても過言ではありません。
にもかかわらず、もし結果的に「やらなければよかった」と感じてしまったら——。
それは合併症そのものだけでなく、「治療を受けるに至るまでのプロセス」に、どこかで無理や迷いがあったのかもしれません。
治療前に、互いにできること
合併症が起きたとき、どんなに医師が丁寧に説明し、慎重に治療をしていたとしても、起こってしまえば患者さんの心身に負担がかかります。
だからこそ、事前に“本当の意味で納得していたかどうか”が、のちの満足度に大きく影響します。
・医師側は、「本当にこの治療がこの患者さんにとってベストなのか」
・患者さん側は、「今の自分にとってこの治療が必要なのか」
どちらも「ただ希望されたから」「ただすすめられたから」ではなく、お互いに考え、言葉を尽くし、判断したいものです。
美容医療の現場は年々カジュアルになり、「気軽に」「当日予約」「即日施術」などの言葉もよく目にします。でも、どんなに簡単そうに見えても、それは「医療」であるということは変わりません。
「考える」ことが、最大の安心につながる
合併症のリスクをゼロにすることは、どんなに優れた医師でもできません。けれども、「起こる確率を限りなく低くする努力」や「起こったときに誠実に対応する姿勢」は、選ぶ医療者によって大きく違います。
美容医療において、最も大切なことは、
しっかり”考える”こと。
もしあなたが今、美容治療を検討しているなら。
「この治療、本当に今の自分に必要かな?」
「万が一のときも、この先生に任せたいと思えるかな?」
そんな問いかけを、ぜひ一度、自分自身にしてみてください。
それが、自分自身を大切にするということにつながり、結果として“よりよい医療”に近づく第一歩になるのだと思います。
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