脂質を抜きすぎるのは危険?~日進市・長久手市・みよし市・東郷町で健康的な食事を考える方へ~
脂質を抜きすぎるのは危険?~日進市・長久手市・みよし市・東郷町で健康的な食事を考える方へ~
健康診断の結果やダイエットをきっかけに、「脂質はできるだけ少ない方がいいのでは?」と考える方は少なくありません。しかし、脂質は単なる「高カロリーな栄養素」ではなく、体のさまざまな機能を支える大切な役割を担っています。過度に脂質を制限すると、健康を損なうリスクがあることが研究でも明らかになっています。
ここでは、脂質の持つ重要な働きと、過度な制限による具体的なリスクについてエビデンスを含めて解説します。
脂質は体にとってなぜ必要か
脂質は、炭水化物やタンパク質と並ぶ三大栄養素のひとつであり、次のような役割を担っています。
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エネルギー源として体を動かす
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細胞膜や神経系の材料となる
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ホルモン(性ホルモン、副腎皮質ホルモンなど)の合成に必要
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脂溶性ビタミン(A・D・E・K)の吸収を助ける
つまり、脂質は「抜く」のではなく「バランスよく摂る」ことが大切です。
脂溶性ビタミンの吸収低下
ビタミンA、D、E、Kといった脂溶性ビタミンは、脂質と一緒に小腸で吸収されます。脂質が極端に少ない食事を続けると、これらのビタミンが不足し、骨の健康障害(ビタミンD不足)、抗酸化能低下(ビタミンE不足)、視力障害(ビタミンA不足)、出血傾向(ビタミンK不足)などが起こる可能性があります。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」でも、脂質は脂溶性ビタミンの吸収に欠かせないと明記されています。
ホルモン合成と生殖機能への影響
脂質から作られるコレステロールは、性ホルモン(エストロゲン、テストステロン)や副腎皮質ホルモンの材料です。極端に脂質を制限するとホルモン合成が低下し、女性では月経異常、男性では性機能低下を招くことがあります。
特に若年女性や妊娠を希望する方にとって、過度な脂質制限は将来的な妊娠・出産にも影響を及ぼしかねません。
必須脂肪酸の欠乏による皮膚・神経の異常
オメガ-3系脂肪酸(EPA・DHA)やオメガ-6系脂肪酸(リノール酸)は「必須脂肪酸」と呼ばれ、体内で合成できないため食事から摂取する必要があります。これらが不足すると、皮膚乾燥や湿疹、炎症反応の異常、さらには集中力や気分の不調につながる可能性があります。
魚やナッツ、植物油を適度に取り入れることは、皮膚や神経の健康を保つために欠かせません。
血液検査への影響:中性脂肪上昇・HDL低下
「脂質を減らせば血液検査が良くなる」と思われがちですが、必ずしもそうではありません。脂質を極端に減らして炭水化物を多く摂る食事では、中性脂肪(トリグリセライド)が増え、善玉コレステロール(HDL)が低下する傾向が報告されています。
Women’s Health Initiativeなどでも、総脂肪を単純に減らす食事は心血管疾患のリスクを下げる効果が限定的であることが示されています。むしろ「飽和脂肪を減らし、不飽和脂肪を適度に摂る」という脂質の“質”の改善が大切です。
精神・認知機能への影響
脳は脂質を多く含む臓器であり、特にDHAなどのオメガ-3脂肪酸が神経の働きに関与しています。極端な脂質制限を行うと、集中力の低下や抑うつ傾向などのメンタル面の不調が出る可能性があることも報告されています。
適切な脂質摂取の目安
多くのガイドラインでは、脂質エネルギー比(1日の摂取エネルギーに占める脂質の割合)を 20~30%程度 にすることを推奨しています。
ポイントは、脂質を完全に減らすのではなく、
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飽和脂肪(バターや肉の脂身)を控える
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不飽和脂肪(魚油・オリーブ油・ナッツ類)を取り入れる
ことです。
日進市のたがやクリニックへご相談ください
脂質は「悪者」ではなく、「摂り方次第」で健康を支える栄養素です。過度な制限は、脂溶性ビタミン欠乏、ホルモン異常、皮膚や神経のトラブル、血液検査異常などさまざまな不利益をもたらします。
日進市・長久手市・みよし市・東郷町・名古屋市にお住まいの皆さま、無理な自己流ダイエットで健康を損なう前に、バランスのよい食生活を心がけましょう。たがやクリニックでは、必要に応じて栄養状態のチェックや生活習慣のご相談にも対応しています。