AKDとは?AKIとCKDの間にある「見逃してはいけない腎障害」
AKDとは?AKIとCKDの間にある「見逃してはいけない腎障害」|日進市・長久手市・みよし市・東郷町のたがやクリニック
AKDという新しい腎疾患の考え方
健康診断や検査で「腎臓の数値が少し悪い」と言われたことはありませんか?
腎臓病といえば「急性腎障害(AKI)」や「慢性腎臓病(CKD)」がよく知られていますが、その“間”に位置する病態として、AKD(急性腎臓病:Acute Kidney Diseases)が注目されています。
AKDは、AKIほど急ではないが、CKDとまではいえない腎障害を意味し、早期に見つけて適切に対処することで、腎機能の回復を促し、慢性化(CKD化)を防ぐことができます。
AKDとは?AKIとCKDの間に位置する新しい概念
AKDの定義
KDIGO(Kidney Disease: Improving Global Outcomes)2021ガイドラインでは、AKDを次のように定義しています。
「3か月未満に発生した腎機能または構造の異常」
(ただし、AKIの診断基準を満たす場合を含む)
つまり、AKIの発症後に腎機能が完全に回復していない状態や、AKIの基準に達しないが腎障害が持続している状態がAKDにあたります。
AKI・CKDとの違い
| 病態 | 持続期間 | 特徴 |
|---|---|---|
| AKI(急性腎障害) | 数時間〜数日 | 腎機能が急激に低下 |
| AKD(急性腎疾患) | 3か月未満 | AKIからの回復期または軽度障害が続く状態 |
| CKD(慢性腎臓病) | 3か月以上 |
腎機能の慢性的な低下または構造異常 |
AKDは、AKIとCKDをつなぐ“グレーゾーン”の時期であり、腎臓の修復と慢性化の分かれ道となります。
なぜAKDが注目されているのか?
1. AKI後に腎機能が完全に戻らないケースが多い
急性腎障害(AKI)を起こした後、血清クレアチニンが正常値に戻ったとしても、腎臓内では炎症や線維化が残ることがあります。
この「回復しきらない状態」がAKDであり、慢性腎臓病(CKD)へと進行するリスクが高まります。
実際、研究によるとAKI後にCKDへ進行する患者は20〜40%程度にのぼると報告されています。
2. AKD期の管理が腎臓の未来を左右する
AKDを見逃さず、早期に再検査や生活習慣の見直しを行うことで、腎臓の修復を促し、慢性化を防げることが明らかになっています。
特に糖尿病・高血圧・脂質異常症を持つ方では、AKDを早期に認識して対策を行うことが重要です。
AKDの診断とフォローのポイント
どのように診断する?
AKDは、主に以下の検査で評価します。
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・血清クレアチニン値・eGFR(腎機能の指標)
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・尿検査(蛋白尿・血尿・尿沈渣など)
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・画像検査(腎エコーなど)で構造異常を確認
AKIの診断後、1週間〜3か月の間に腎機能異常が持続する場合はAKDと診断されます。
フォローアップの重要性
AKD期のフォローは、次のような点に注意して行います。
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・1〜3か月ごとの血液・尿検査で腎機能の推移を確認
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・血圧・血糖・脂質のコントロールを徹底
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・腎毒性のある薬剤(NSAIDs・造影剤など)を避ける
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・蛋白尿や高血圧のある場合はSGLT2阻害薬、RAS阻害薬などの使用を検討
腎臓は“沈黙の臓器”とも呼ばれます。症状がなくても、検査で異常が続く場合は慎重な経過観察が必要です。
AKDが疑われるときのサイン
以下のようなケースでは、AKDの可能性があります。
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・一度腎機能が悪化し、完全には回復していない
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・健診でeGFRが大きく変動している
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・急性期の入院後、退院しても腎機能が安定しない
このような場合、早めに腎臓内科を受診しましょう。
日進市・長久手市・みよし市・東郷町で腎臓のフォローならたがやクリニックへ
たがやクリニックでは、腎臓内科専門医がAKI・AKD・CKDを総合的に診療しています。
急性期後のフォロー、生活習慣指導、薬剤調整などを通じて、腎機能の回復を支援します。
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・健診で「クレアチニンが高い」と言われた
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・腎臓の値が安定しない
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・血圧や糖尿病の管理も含めて相談したい
そんな方は、ぜひお気軽にご相談ください。
日進市をはじめ、長久手市・みよし市・東郷町など近隣地域の方々の腎臓の健康をサポートしています。
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